終戦の日が来るたび、父の事を思い出します。



三年前、豊橋市主催の経営塾で、有限会社ファインモールドの

鈴木社長様から、「陸軍のトラック」製造の構想を伺い、大喜びしました。

「二年はかかる」とのお話しでしたが・・・

インパール作戦に自動車輸送部隊としてビルマに参戦した、88歳の父のため

一日も早くとお願いしました。



ファインモールドさんは、わずか10名ほどの小さな会社ですが、

宮崎駿監督の、紅の豚の飛行機やスターウォーズの模型で有名な

愛知ブランドに輝く日本一の模型メーカーなのです。



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金型作りも成型も全て自社、技術も設備も超一流です。

ただ精密に作るだけでなく、背景・歴史を時間をかけて調査し、

思いまでも伝えるのです。



資料として、父の愛蔵の戦友会史「南想」と「「南想・拾遺集」をお貸しし、

首を長くしてお待ちしていましたが・・・



困ったことに、プラモデルの組み立てができません。

インターネットで組み立てをしてくださる方を募集しようかと思案していましたら・・・

父はすでに友人にお願いしていました。



HPを度々チェックし、一年前の5月の発売日にファインモールドさんを訪ねました。



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トラック2種を購入するつもりでしたが、なんと両方ともプレゼントして下さったのです。



実家に急送したプラモデルを、父の友人の松岡さんが毎日来訪し、

父の傍で組み立ててくださいました。

松岡さんは元エンジニアで器用な方なのですが、プラモデルは初めてだったのです。

何しろ拘りの精密模型ですので、さすがの松岡さんも悪戦苦闘。

シールを張り間違えて取り寄せたり、苦心されたのです。



その様子を傍で父はワクワクしながら見て・・・いえ、いろいろ口を出して・・・

さぞ楽しかったと思います。



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立派に2台とも完成したばかりか、松岡さんは戦車まで取り寄せて、

父にプレゼントしてくださったのです。



父の代理で出席した昨年7月の南想会にもパンフレットを持っていき、

戦友の皆様にお披露目しました。



松岡さん、ありがとうございます。

鈴木社長様、ありがとうございます。間に合いました。



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父は大切に床の間に飾ってあった2台のトラックの

一台と共に九十歳で旅立ちました。



あの時、私が鈴木社長のご講義を受講しなかったら・・・



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鈴木社長がマイナーな「陸軍のトラック」を作ろうと思われなかったら、

ファインインモールドさんが、豊橋の企業でなかったら・・・



松岡さんが、ビリヤードの会に入会されなかったら・・・



ご縁の不思議、ありがたさをしみじみと感じています。



若い頃は、筆舌に耐えがたい苦難も味わいましたが、

自分の責任で、自分の思うように生き、人に恵まれた幸せな人生でした。

大きな声で笑う朗らかな人でした。



帰還できなかった方々を決して忘れず・・・

心ゆたかな日々を過ごしたいとと思います。





ゆりこ

投稿者 yuriko